――獣人が住む獣の国。 国王には跡継ぎがなく、次の指導者を新たに決めるべく、数百年ぶりの『王選挙』を行った。 しかし選考は揉めに揉めた。 候補者のひとりは血筋は確かだが若すぎた。 候補者のひとりは実力はあったが平民出だった。 何度も国民投票を行うも票は真っ二つ。 困った王は古のしきたりを復活させることにした。 ――ヒトの国に住む少女には身寄りがなかった。 両親とは死に別れ、自分を育ててくれた祖母も先日なくなったばかり。 村の人々もどこかよそよそしい。 彼女はそれでも前向きに生きようとしていた。 見知らぬ国に誘拐されるとも知らずに。